前回は、母材の酸化皮膜の除去法であるフラックスと雰囲気を説明しました。今回は、ろう付け時の加熱源について解説します。トーチろう付けや工業炉、高周波、電気抵抗、レーザなど、加熱方法の違いやそれぞれの特徴、注意点を学びましょう。
第5回「加熱源の種類」を解説していきます。
1. ろう付けの加熱源とは
良好なろう付けを行うためには、溶融ろう材が固相母材の表面に対し、十分にぬれる必要があります。このために重要なのは、溶融ろう材と母材金属を同一温度に加熱することです。従って、ろう付けでは加熱源の選択がポイントです。一般的に、ろう付けの加熱源として、炎(ガスバーナー)、工業炉、高周波、電気抵抗などが使用されています(表1)。それぞれに一長一短があるものの、ろう材と母材金属を均一に加熱するという目標は共通です。
2. 炎(ガスバーナー)
ガスバーナーの炎を熱源とするろう付けを、トーチろう付けといいます(図1)。トーチとは、小型の手持ちバーナーのことです。トーチろう付けでは、低圧式のガス溶接機を使用します。燃料ガスには、アセチレンガス、プロパンガス、ブタンガス、エチレンガス、都市ガスなどが用いられます。
トーチろう付けの特徴は、作業者がトーチを手に持ち、直接ろう付け部に炎を当てて加熱するため、目視で確認・調整しながらろう付けできる点です。一方、ほとんどの場合、フラックスを使用するので、ろう付け後に処理が必要となります。ガス状フラックスや還元性炎を用い、母材表面の酸化皮膜を除去する場合もあります。
欠点としては、温度管理も目視で行わなくてはならず、技術者に熟練が要求されます。特にアルミニウム材は、ろう付け時の高温下でも金属の色調が変化しないので、適温が分かりにくく、作業者にはさらに高度なスキルが求められます。
トーチろう付けは、自動化も可能です。経験や予備実験などによって、ろう付け条件の事前設定は必須ですが、大量生産に適している方法といえます。この場合、ワイヤ状ろう材を用います。ろう材を足すタイミングは、母材がろう付け温度到達後に外部から挿入する方法(差しろう)と、加熱前にあらかじめ母材ろう付け部に添付する方法があります。
3. 工業炉
4. 高周波
5. 電気抵抗
6. その他の加熱源
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 ろう付けとは
- 第2回 ろう材の種類とぬれ
- 第3回 ろう付けと冶金
- 第4回 フラックスと雰囲気の役割
- 第5回 加熱源の種類
- 第6回 ろう付けの継手設計
- 第7回 ろう付けの方法とろう付け部の欠陥