応力とは|建築構造力学の基礎知識4

建築構造力学の基礎知識

著者:近畿大学 工学部 建築学科 教授 大田 和彦

前回は、静定構造物の反力計算を紹介しました。今回は、応力の種類とその求め方について解説します。建築構造物は、荷重や反力を受けると部材内部に抵抗力を生じます。構造力学では、部材は線材に理想化されます。理想化された線材内部の抵抗力を、応力と呼びます。応力を求めることは、安全な建築構造物を(構造)設計する上で極めて重要な作業です。

第4回「応力とは」を解説していきます。

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1. 応力とは

内力は、物体に外力が加わる場合、それに応じて物体の内部に生ずる力のことです。外力を受けて静止している物体は、力の釣り合い状態にあります。今、この物体をある断面で切断して、2つの物体に分解するとしましょう。このとき、物体の切断面には内力が現れます。分解された物体に作用する外力と内力は、やはり力の釣り合い状態にあります。そして、再び2つの物体を結合すると、内力は消えてなくなります。従って、建築構造物の部材を切断すると切断面に内力が現れます。この部材断面上に作用する内力を、応力度といいます。構造力学では部材は線材に理想化されるので、これらの応力度は、その断面の図心位置に集約されます。この集約された応力度が応力です。それゆえ、構造力学では、応力と内力は同義語として扱われます。

応力の種類や求め方を説明する前に、平面応力場にある物体に話を戻しましょう。今、外力を受けて静止している物体があるとします。この物体内部の微少な要素を取り出して観察すると、図1に示すように、要素の側面には一般に、側面と直角の方向に働く力(垂直応力度)と、側面に平行に働く力(せん断応力度)が作用します。

垂直応力度とせん断応力度
図1:垂直応力度とせん断応力度

棒材では、引っ張ったり圧縮したりすると、棒材の材軸と直角な断面上には、垂直応力度σのみが生じます(図2)。

引張材の内力(垂直応力度)
図2:引張材の内力(垂直応力度)

他方、棒材を曲げると、棒材の材軸と直角な断面上には、垂直応力度σとせん断応力度τが生じます(図3)。

曲げ材の内力(垂直応力度、せん断応力度)
図3:曲げ材の内力(垂直応力度、せん断応力度)

2. 応力の種類と符号規則

応力には一般に、軸方向力、せん断力、曲げモーメントの3種類があります(図4)。

軸方向力、せん断力、曲げモーメント
図4:軸方向力、せん断力、曲げモーメント

・垂直応力度と軸方向力
軸方向力は、棒材を引っ張ったり圧縮したりするときに、断面上に作用する垂直応力度σの合力です(図5)。軸方向力の記号はNを用いて表示し、単位はkNが一般に用いられます。

引張材の内力(軸方向力)
図5:引張材の内力(軸方向力)

図6は、せん断応力度とせん断力、曲げ応力度と曲げモーメントの関係を表します。

曲げ材の内力(せん断力、曲げモーメント)
図6:曲げ材の内力(せん断力、曲げモーメント)

・せん断応力度とせん断力
せん断力は、棒材を曲げたときに、断面上に作用するせん断応力度τの合力です。せん断力の記号はQを用いて表示し、単位はkNが一般に用いられます。

・曲げ応力度と曲げモーメント
棒材を曲げたときの垂直応力度σを観察すると、断面の図心を通る1つの軸(中立軸)を境に、一方の断面上には引張の垂直応力度が作用し、もう一方の断面上には圧縮の垂直応力度が作用します。これを曲げ応力度といいます。曲げモーメントは、中立軸に関する曲げ応力度が引き起こすモーメントの総和です。曲げモーメントの記号はMを用いて表示し、単位はkNmが一般に用いられます。

部材の任意の箇所を、材軸に対し直角に極めて薄く切り取り、切り出した微小片(セグメント)の両側面に働く応力を観察します。図7は、応力の符号規則を表します。

応力の符号規則
図7:応力の符号規則

・軸方向力
軸方向力は、微小片を引っ張る方向か、圧縮する方向に作用する一組の力です。この一組の力が引っ張る方向に作用していれば引張力と呼び、正の符号で表示します。逆に、圧縮する方向に作用していれば圧縮力と呼び、負の符号で表示します。

・せん断力
せん断力は、微小片を回転させる一組の力です。この一組の力が微小片を時計回りに回転させるとき、正の符号で表示します。逆に、反時計回りに回転させるとき、負の符号で表示します。

・曲げモーメント
曲げモーメントは、微小片の両側面に作用する一組のモーメントです。このとき、部材を構成する繊維は、中立軸を境界にして一方の側が引っ張られ、もう一方の側が圧縮されます。曲げモーメントの正値は、断面の引張繊維材側に決めています。逆に、圧縮繊維材側は負値になります。

3. 応力を求めるには

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全7回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 力とは
  • 第2回 建築構造物のモデル化
  • 第3回 単純梁と片持ち梁の反力計算
  • 第4回 応力とは
  • 第5回 静定梁の応力計算
  • 第6回 静定トラスの応力計算
  • 第7回 不静定問題を解くためには

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