図形と投象|建築製図の基礎知識3

建築製図の基礎知識

著者:日本文理大学 工学部 建築学科 教授 西村 謙司

前回は、建築製図の基礎知識となる製図規格のうち、線・尺度・寸法・表示記号について説明しました。今回は、製図において作図対象となる立体物を、平面媒体である図面に書き換える図法について説明します。特に、その図法のなかでも、建築製図でよく用いられる正投象、軸測投象、透視図法について取り上げます。

第3回「図形と投象」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 図形の表し方(投象)

建築図面を作成する際に最も重要な留意事項は、建築図面が平面媒体で作成されるにもかかわらず、そこに表示される内容は、立体的な対象物としての建築物であるということです。そのため、建築製図を作成するには、平面上に立体物を表現する方法が確立されている必要があります。この作図方法として建築製図では、投象(projection)という方法が用いられて図形が作図されています。

幾何学的空間のなかにある立体物を、一つの平面上(投象面)に投射することによって描き出された象を投象といいます。図1のように、点Pを通る定められた方向の直線と投象面PPとの交点をP’とすると、P’がPの投象となります。そのとき、Pを原象、直線PP’を投射線といいます。

この呼び方は、幾何学的ですが、それを視覚的に捉えて、投象面を画面、投射線を視線、原象を視点、投象を視図という場合もあります。パース(透視図)などを描く際に援用する透視図法を用いて図面を描く際には、後者の用語が用いられます。

投象、投射線、原象、投象面
図1:投象、投射線、原象、投象面

2. 平行投象と中心投象

平面への投象法には、大きく分けて平行投象と中心投象の二種類があります。

平行投象とは、図2に示すように、全ての投射線を平行にする投象法で、建築製図で作成される図面の多くは、この投象法を援用して作図されます。

平行投象
図2:平行投象

それに対して中心投象とは、図3に示すように、全ての投射線が1点(点S)から放射されて成立している投象法です。この点Sを投象中心といいます。中心投象は、透視図法を用いて描くパースに援用されています。

中心投象
図3:中心投象

平行投象と中心投象は、概念として異なっていますが、投象中心の考え方を展開していくことによって、平行投象を中心投象の一部と見なすことができます。通常、投象中心は有限の位置にあると設定されますが、その投象中心(点S)の位置を無限遠点に延長してとると仮定すると、その投象は、平行投象と同じ内容を示すことになります。つまり、投象法においては、全ての投射線は一点で交わり、この点が無限遠点であれば平行投象、有限の位置にあれば中心投象ということになります。

3. 正投象

4. 軸測投象

5. 透視図法(中心投象)

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 建築製図とは
  • 第2回 製図規格の基礎項目
  • 第3回 図形と投象
  • 第4回 製図のタイミング
  • 第5回 実施設計図書の概要
  • 第6回 建築製図の方法と媒体としての意義

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