接着部品の構造設計|接着の基礎知識7

接着の基礎知識
著者:株式会社原賀接着技術コンサルタント 原賀 康介

前回は、接着の強度設計の考え方について説明しました。今回は、接着部品の構造設計を行う際のポイントを解説します。

第7回「接着部品の構造設計」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 構造設計の基本理念

接着部品の構造設計を行う際には、必ず次の3 点を基本理念として念頭に置きましょう。

1:接着部の品質は、設計で決まる
高性能・高品質、不良率の低さ、組み立てやすさ、コストは、全て設計の良しあしにかかっていることを十分に認識し、設計しましょう。

2:接着後の剥離、手直しは不可能
貼り合わせ後、接着剤の硬化状況を確認できるかなど、検査や後工程に配慮して設計する必要があります。

3:うまく設計された部品・構造は、シンプルで美しい
「Simple is the Best.」を目標に設計しましょう。

2. 高品質な接着を実現する構造設計とは

接着部品の構造設計時に考慮すべきポイントを、13 項目にまとめました。これらを押さえれば、接着部の強化、作業効率アップを実現できます。

1:接着部を面にする
接着は応力集中に弱いので、点や線での接着は避け、面接合にしましょう。

2:外部からの力を、せん断力で受ける構造にする
接着部は、せん断力には強く、剥離力に弱い性質を持っています。剥離方向の力が加わりにくい構造にしましょう。

3:硬化前の接着剤が、かき取られない構造にする

4:部品の位置合わせが、容易な構造にする

5:接着剤硬化後のやり直しは困難なため、類似部品の貼り間違いを防止する構造にする

6:接着剤のはみ出し硬化部と、後付け部品の干渉を避ける

7:接着剤のはみ出し部を、除去しやすい構造にする

8:作業時間短縮のために、同時に貼り合わせる箇所を極力減らす

9:液体塗布に適した構造にす る

10:複合接着接合法を活用する
接着剤とリベット、ねじ、かしめなど、他の接合方法を併用する複合接着接合法により、さまざまな利点が得られます。例えば、接着剤硬化までの固定治具の省略、硬化待ち時間の解消、電着塗装やアースなどの電気的導通の確保、容易で高精度な位置合わせが可能になるなど、作業の効率化が期待できます。また、高温(塗料焼付時など)での剥がれ・変形の防止、接着接合の性能向上(クリープ劣化防止、高温での接着強度の向上、疲労特性向上、接着強度のばらつき低減など)といった接着部の高性能化、接着部破壊に備えたバックアップの役目も果たします。

11:接着層を適切な厚さにする
図1 に示すように、接着層が薄くなると剥離や衝撃に弱くなります。反対に接着層が厚くなると、せん断や引張に弱くなってしまいます。いずれの力にもバランス良く強度を発揮できるのは、接着層0.1mm 程度の厚さです。

接着層の厚さと強度の関係
図1:接着層の厚さと強度の関係

12:検査を考慮した構造にする
構造によっては、材料を接着剤で一度貼り合わせてしまうと、接着剤の硬化状態を確認しにくい場合があります。このような場合には、被着材に確認用小穴(図2)を設けておくと、接着剤塗布の有無や硬化状態の確認が容易になります。

接着部に確認用小穴を設けた例
図2:接着部に確認用小穴を設けた例

13:不連続性を回避する構造にする
接着部には、形状、板厚、部品の剛性、材料物性など、さまざまな不連続性が生じる場合があります。接着部に力が加わると、不連続部に応力が集中して破壊に至るので、不連続性をカバーする工夫が必要です。形状、部品の剛性、材料物性の不連続性を回避する例を、具体的に解説します。

・形状、部品の剛性の不連続 回避例
図3 を見てみましょう。被着材料の形状が不連続の場合、それぞれの角に応力が集中します。これを回避するには、被着材料のいずれか、もしくは両方の形状を加工する方法が有効です。

形状の不連続性回避例
図3:形状の不連続性回避例

部品の剛性が不連続な場合も、被着材料の端部を落とす加工で対応できます。図4 は、断面がコの字型の補強材をパネルに接着する場合、補強材端部への応力集中を回避する例です。

部品の剛性の不連続性 回避例
図4:部品の剛性の不連続性 回避例

・材料物性の不連続性 回避例
硬い被着材料と、非常に軟らかい被着材料を接着する場合を考えてみましょう(図5)。非常に軟らかい接着剤を使用すると、引張力がかかった時に接着剤が大きく変形し、接着部の端部に応力が集中します。この場合、少し硬めの接着剤に変更すると変形が小さくなり、応力集中を低減できます。さらに応力集中を低減させたい場合は、接着剤の硬さを被着材料の硬さに合わせ、徐々に変化させるとよいでしょう。

材料物性の不連続性 回避例
図5:材料物性の不連続性 回避例

3. クリープ劣化、水による劣化への対策

続きは資料をダウンロードしてご覧ください!

全8回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 接着の原理とは?高信頼性・高品質接着とは?
  • 第2回 接着の最適化とは?内部応力とは?
  • 第3回 構造用接着剤の種類と選び方
  • 第4回 エンジニアリング接着剤とは?
  • 第5回 接着剤の選び方
  • 第6回 接着における強度の考え方
  • 第7回 接着部品の構造設計
  • 第8回 接着施工のポイント

基礎知識DL

  • 資料ダウンロード

    これさえ読めば簡単に利用できる
    「3分でわかるイプロス無料出展会員」

  • 無料掲載

    イプロスで製品・サービスをPR
    無料掲載のお申し込みはこちらから