前回は、構造用接着剤について解説しました。今回は、さまざまな製品組立で用いられているエンジニアリング接着剤の種類と特徴、使用上の注意点について解説します。接着不良を防ぐために、汎用性の高いエンジニアリング接着剤の知識を身につけることが大切です。
第4回「エンジニアリング接着剤とは?」を解説していきます。
1. エンジニアリング接着剤とは
エンジニアリング接着剤は明確な定義がなく、筆者は「接着の硬化機構、作業性、機能・特性などに特異な特徴を持ち、工業製品の組立に用いられる接着剤」と考えています。本稿では嫌気性接着剤、光硬化型接着剤、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤、瞬間接着剤、両面テープ(感圧接着テープ)の6 種類を解説します。図1 に、エンジニアリング接着剤6 種類の概要をまとめました。
2. 嫌気性接着剤
嫌気性接着剤とは、空気(酸素)が遮断された状態で特定の物質(活性材料)に接触することで、硬化が進行する接着剤のことです。嫌気性接着剤の種類と硬化機構、長所・短所をまとめました。
1:種類
1液型です。不活性材料に接していると硬化しないため、アクチベータ(反応活性剤)を硬化剤として併用する場合もあります。嫌気硬化と紫外線硬化や熱硬化、湿気硬化などを併用するタイプもあります。
2:硬化機構
主成分はアクリルモノマーと反応開始剤です。空気遮断時、活性材料と接触することでラジカル連鎖反応が生じ、硬化が進行します。室温で硬化する点が長所です。不活性材料に使用する場合、空気を遮断しただけでは硬化しないため、アクチベータを用います。表1 に、活性材料と不活性材料の例を示しました。
3:長所・短所
嫌気性接着剤の長所は、基本的に1 液で室温硬化するため使用が容易であり、浸透性に優れている点です。短所は硬化を阻害する要因が多く、採用に当たり予備評価が重要となる点です。以下に、嫌気性接着剤で考慮すべき点をまとめました。
・接着層の厚さが0.1mm 以上になる部分は硬化しにくい
・接着層が厚くなると硬化速度が遅くなる
・不活性材料の接着ではアクチベータの併用が必要
・表面がポーラス(多孔質)な被着材料では硬化不良が生じやすい
・被着材料の種類により、硬化速度や最終強度(硬化性)が変化する
・油面接着性に劣る
・洗浄剤の残さにより硬化不良を起こすことがある
・空気に触れるはみ出し部分は硬化しない
・貼り合わせ時に空気を巻き込むと硬化不良が生じる
・十分な強度を出すには加熱が必要となる場合が多い
3. 光硬化型接着剤
4. シリコーン系接着剤
5. 変成シリコーン系接着剤
6. 瞬間接着剤
7. 両面テープ(感圧接着テープ)
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 接着の原理とは?高信頼性・高品質接着とは?
- 第2回 接着の最適化とは?内部応力とは?
- 第3回 構造用接着剤の種類と選び方
- 第4回 エンジニアリング接着剤とは?
- 第5回 接着剤の選び方
- 第6回 接着における強度の考え方
- 第7回 接着部品の構造設計
- 第8回 接着施工のポイント