無負荷特性曲線と短絡曲線|発電機の基礎知識5
お役立ち記事
2024.11.11
基礎知識
無負荷特性曲線と短絡曲線|発電機の基礎知識5

前回は、三相同期発電機の特性を紹介しました。今回は、同期発電機の無負荷特性曲線と短絡曲線を取り上げます。無負荷特性曲線と短絡曲線は、同期発電機の最も基礎的な特性曲線です。また、同期インピーダンス、および短絡比と特性の関係について解説します。
第5回「無負荷特性曲線と短絡曲線」を解説していきます。
第5回もくじ
1. 無負荷特性曲線と短絡曲線
図1、図2 は、それぞれ、同期発電機の無負荷試験と短絡試験を示す回路です。無負荷試験では、同期発電機を無負荷のまま定格速度で運転します。短絡試験では、スイッチSを閉じて電機子巻線を短絡しておき、同期発電機として定格速度で運転します。
無負荷試験で、界磁電流If をゼロから徐々に増加しながら、端子電圧(線間電圧)を測定したとき、界磁電流Ifと無負荷誘導起電力E0 との関係が得られます。これを無負荷飽和曲線といいます(図3)。
これに対し短絡試験で、界磁電流Ifをゼロから徐々に増加すると、短絡電流IS とIf の関係が得られ、ほぼ直線となります。これを三相短絡曲線といいます(図3)。

短絡電流IS は、誘導起電力E0 に対してほぼ零力率の遅れ電流となり、その電機子反作用による減磁作用により、界磁起磁力の大部分は打ち消されます。このため、磁束は極めて小さくなり、鉄心は未飽和のため短絡曲線は直線となります。
2. 同期インピーダンス
同期インピーダンスZS は、無負荷飽和曲線と三相短絡曲線とから、以下のように求められます。
ZS は、図3 に示すように、界磁電流If が小さく、飽和の影響が現れない範囲で、ほぼ一定値です。しかし、If が大きくなると、飽和の影響により小さくなります。従って、一般的に同期インピーダンスは、E0 が定格電圧Vn に等しいときの、界磁電流If に対する値を用います。
また、ZS を単位法(PU 法、パーユニット法)で表すと、以下の式で表すことができます。
ここで、ZBASE=Vn/In は、基準インピーダンスを表します。
3. 短絡比と特性
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 発電機とは
- 第2回 発電機の誘導起電力
- 第3回 同期発電機の仕組み
- 第4回 同期発電機の特性
- 第5回 無負荷特性曲線と短絡曲線
- 第6回 同期発電機の並行運転
- 第7回 誘導発電機とは