酸化物セラミックス|セラミックスの基礎知識 5

お役立ち記事

2024.09.17

基礎知識

酸化物セラミックス|セラミックスの基礎知識 5

セラミックスの基礎知識

著者:東海大学 工学部 材料科学科 教授 松下 純一

前回は、オールドセラミックス、ニューセラミックス、ファインセラミックスを紹介しました。今回は、1 種類の金属元素、あるいは非金属元素と酸素が化学結合した単一の化学組成の化合物である単純酸化物について、工業的に広く利用されている代表的なセラミックスを例に解説します。さらに、同様に、2 種類以上の複数の金属元素、あるいは非金属元素と酸素が化学結合した化合物である多成分系の酸化物(複酸化物)についても取り上げます。

 

基礎知識DL

1. 酸化物セラミックス

化合物セラミックスを化学組成で区別すると、酸素と化学結合している酸化物セラミックス(Oxide Ceramics)と、酸素以外の元素(炭素、窒素、ホウ素、ケイ素、リン、ヒ素など)と化学結合している非酸化物セラミックス(Nonoxide Ceramics)に大別できます。本稿では、前者の酸化物セラミックスを詳しく解説し、後者の非酸化物セラミックスは、次回取り上げます。

酸化物セラミックスは、さらに、単純酸化物セラミックスと多成分系酸化物(複酸化物)セラミックスに分けられます。単純酸化物セラミックスは、ある1 種類の金属元素、あるいは非金属元素(酸素よりも低電気陰性度)と酸素が化学結合した単一の化学組成の化合物です。一方、多成分系酸化物(複酸化物)セラミックスは、2 種類以上の複数の金属元素、あるいは非金属元素と酸素が化学結合した化合物です。なお、複酸化物(Double Oxide)とは、オキソ酸(Oxo Acid)イオンを含まない2 種類以上の酸化物が複合して生じた物質です。

単一化合物からなる単純酸化物セラミックスは、機能材料分野、および構造材料分野などの工業製品として、とても有用なセラミック材料です。まずは、4 つの単純酸化物セラミックス、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化チタン(チタニア)を取り上げます(図1)。これらの単純酸化物セラミックスは、結晶構造で規定される原子比と、実際の物質の原子比がほぼ同じ化学量論(Stoichiometry)にある、常圧室温下で安定なセラミックスの中でも、特に代表的なものと考えられます。

1:酸化ケイ素 (SiO2)、酸化アルミニ ウム(Al2O3)、酸化ジ ルコニウム(ZrO2)、 酸化チタン(TiO2)を 用いた製品の一例
図1:酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)を用いた製品の一例

本稿では取り上げないものの、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化カルシウム(カルシア)、酸化鉄などの酸化物セラミックスも、非常に有用なセラミック材料です。なお、シリカ、アルミナなどの、かっこ内の呼称は、工業的に広く用いられている慣用名です。

・酸化ケイ素

酸化ケイ素(シリカ)SiO2の正式な化合物名は、二酸化ケイ素(Silicon Dioxide)です。ただし、ケイ素(Si)と酸素(O)の化合物で、常圧室温下において安定な化合物はSiO2 だけで、他物質との混乱が生じないため、酸化ケイ素(Silicon Oxide)と略して呼びます。なお、炭素(C)と酸素(O)の化合物は、同条件下で一酸化炭素(CO、Carbon Monoxide)と二酸化炭(CO2、Carbon Dioxide)が存在するため、両者の混同を避ける意味で、酸化炭素(Carbon Oxide)とは呼びません。非晶質(無定形)の酸化ケイ素は、一般にシリカ(Silica)と呼ばれます。

酸化ケイ素の結晶系には、以下のような多形(同質異像)が存在します。

  • 低温型(α-)石英(Quartz、三方晶(Trigonal))
  • 高温型(β-)石英(六 方晶(Hexagonal))
  • 低温型(α-)トリジマイト(Tridymite、単斜晶(Monoclinic))
  • 高温型(β -)トリジマイト(六方晶)
  • 低温型(α-)クリストバライト(Cristobalite、正方晶(Tetragonal))
  • 高温型(β-)クリストバライト(立方晶(Cubic))

ほぼ純粋なSiO2 成分で産出される鉱石に、石英(Quartz)があります。無色透明の石英結晶を水晶(Rock Crystal)、砂(粒子)状の石英結晶をケイ砂(Silica Sand、Quartz Sand)と呼びます。天然に産出する非晶質二酸化ケイ素を主成分とする火山岩の一種に、黒曜石(Obsidian)があります。黒曜石は溶岩から生成され、黒曜石製の打製石器(尖頭器Projectile Point)が、数万年も前の旧石器時代の国内遺跡から発掘されています。また、縄文時代以降では、石鏃(せきぞく)の矢尻などの材料に用いられてきました。用いられていた理由は、黒曜石が、他の天然鉱石などに比べて、極めて鋭利な形状に容易に加工しやすかったためと思われます。

また、単細胞藻類のケイソウ(珪藻、Diatom)の死骸(遺骸)が堆積して作られる非晶質のケイソウ土(珪藻土、Diatomaceous Earth、Diatom Earth)は、現在、工業的にも利用されています。珪藻の殻は二酸化ケイ素SiO2 でできており、珪藻土もこれを主成分としています。

SiO2 を含む人工のガラス(Glass)は、紀元前4000 年以上も前に、メソポタミア(現イラク周辺地域など)などで製造が開始され、世界中に広まったと考えられています。紀元後数世紀ごろの、ヨーロッパ各地の遺跡からは、現在でも使用可能な見事なデザインの、美的かつ実用性を兼ね備えた容器などが出土しています。図2 に、1000 年以上前に作られ、今日まで現存している軟質ガラス製容器を現代技術で模作製した複製品(レプリカ)を示します。

軟質ガラス製容器(複製品)の一例
図2:軟質ガラス製容器(複製品)の一例

正倉院には、奈良時代、あるいは奈良時代以前に作られ、日本へ持ち込まれたガラス製の容器などが多く残されています。現代においては、窓ガラスやガラス瓶などを大量かつ安価に製造する技術が確立され、高純度かつ高性能なガラス材料の製造法も進化を遂げています。

SiO2 結晶を高温で加熱溶融し、冷却するとガラス状態になります。SiO2のみを成分としたガラスを石英ガラス(Quartz Glass、Silica Glass)と呼びます。高純度のSiO2 や、Si 系のガラスなどを用いて作られる合成石英ガラスは、優れた化学的耐食性、および約1,200℃の耐熱性を有し、半導体製造用部材などとして、とても有用なセラミック材料です。

石英ガラスを高温で使用すると、アルカリ成分などの影響を受けて、ガラスの表面に結晶が再析出し、透明性が失われ、強度などの特性が低下することがあります。この現象を失透(Devitrification)と呼びます。この失透を逆に利用し、微細な結晶を析出させ、急熱急冷に強い緻密な結晶化ガラス(Glass Ceramics)を得ることができます。この結晶化ガラスは、ガラスセラミックス、あるいはビトロセラミックス(VitroCeramics)とも呼ばれます。

主成分がSiO2 で、他にB2O3、およびNa2O などを含有するホウケイ酸ガラスは硬質ガラス(Hard Glass)と呼ばれ、軟化温度が高く、耐熱衝撃抵抗性に優れ、化学実験用ガラス器具などとして広く利用されています。商品名のパイレックスPyrex(アメリカのコーニング社、CorningInc.)などがあります。図3 に、化学実験で使用する耐熱性、耐薬品性などの特性に優れた硬質ガラス製器具の一例を示します。

硬質ガラス製化学実験器具の一例
図3:硬質ガラス製化学実験器具の一例

一方、Na2O-CaO-SiO2 系のガラスを軟質ガラス(Soft Glass)と呼びます。軟質ガラスは、従来、食器、瓶、電球、窓などに用いられています。SiO2 を成分とする鉱物を原料に用いた陶磁器類は、現在も代表的な生活用セラミックスです。

また、SiO2 は、圧電性の性質を利用して、水晶発振子(水晶振動子)として広く用いられています。屈折率や伝送損失などの特性が優れた石英ガラスは、長距離高速伝送用光ファイバー(通信用光ファイバーケーブル)としても利用されています。さらに、長期間安定な形状や性質を保つといった特徴を利用して、SiO2 を主成分とするガラスは、高レベルの放射性廃棄物(Radioactive Waste)をガラス固体化するための材料としても用いられています。他にも、銅などの金属表面上に、鉛ガラスのフリット釉(ゆう)を被覆したほうろう(琺瑯、エナメル(Enamel))や、工芸品の七宝焼(Cloisonne)と呼ばれる製品もあります。

SiO2-nH2O 成分のゲル物質であるシリカゲル(Silica Gel)は、吸着力が強く、低活性の特徴があるため、乾燥剤や、ガス、および液体クロマトグラフィ(Chromatography)用の固定相(担体、カラム(Column))などとして用いられています。

・酸化アルミニウム

次に紹介する酸化物セラミックスは、酸化アルミニウム(アルミナ)です。組成式はAl2O3 で、正式な化合物名は、三酸化二アルミニウム(Dialuminium Trioxide) です。ただし、常圧室温下で、アルミニウム(Al)と酸素(O)の安定な化合物は、Al2O3 だけなので、酸化アルミニウム(Aluminum Oxide)と呼ぶのが一般的です。特に工業材料分野では、慣用名のアルミナ(Alumina)と呼称します。

Al2O3 は、SiO2 と同様に多形(同質異像)が存在し、α、γ、δ、ζ、θ、およびλ型などの異なった結晶系があります。天然には、主成分がα-Al2O3 型の単結晶であるコランダム(Corundom、金剛砂、鋼玉)、ルビー(Ruby、紅玉、赤色系の鋼玉)、サファイア(Sapphire、青色系などの鋼玉)などとして産出し、研磨剤や宝石として利用されています。なお、通常、コランダムが、赤色を呈する場合は、ルビー、それ以外の青色などを呈する場合には、サファイアと呼称します。研磨剤には、コランダム砥粒を用いた研磨布紙(サンドペーパー)などがあり、コランダムと磁鉄鉱からなる鉱物をエメリー(Emery)ということから、エメリー紙と呼ばれます。人工(合成)ルビーの作製(単結晶育成)には、水熱法やベルヌーイ法(火炎溶融法)が用いられます。

なお、アルミニウム製造用として使用されているAl2O3 を含有する天然の鉱石としては、ボーキサイト(Bauxite)などがあります。Al2O3は、耐熱性、耐食性があり、高硬度で絶縁性に優れた特徴を有します。MgO などを焼結助剤として少量添加することで、常圧焼結法により約1,500℃の温度で、比較的容易に緻密な焼結体を作製できるため、工業的に、耐熱部材、耐摩耗部材、および集積回路基板(アルミナ基板)などとして幅広く利用されています。図4 に、酸化物セラミックス製の電子基板の一例を示します。なお、無色透明などの単結晶のアルミナ基板を一般に、サファイア基板と呼びます。

酸化物セラミック製電子基板の一例
図4:酸化物セラミック製電子基板の一例

透光性(Translucent)の緻密質アルミナ(多結晶体)も作製することが可能で、高圧ナトリウムランプの発光管などとしても利用されています。これらのアルミナの結晶系は、α型のAl2O3 です。これに対し、イオン導電性のあるNa-β- アルミナは、電池用の固体電解質材料として用いられています。固体電解質は、固体の状態でイオン導電性を示す物質です。なお、β-Al2O3 は、α型やγ型アルミナのように純粋なAl2O3 ではなく、Na2O・6Al2O3 や、Na2O・11Al2O3などの化学組成の物質です。

サブミクロンサイズの微細粒のAl2O3 焼結体は、超塑性(Superplasticity)の変形挙動を示すことが知られています。さらに、アルミニウム製品を陽極酸化処理して、γ-Al2O3 の酸化被膜をアルミニウムの表面に形成させ、耐食性、および耐摩耗性を向上させることができます。この人工的な不動体化(Passivation)処理は、理化学研究所によって発明され、この処理を施した国内の商品にアルマイト(Alumite)があります。

・酸化ジルコニウム

3つ目の酸化物セラミックスは、酸化ジルコニウム(ジルコニア)ZrO2です。正式な化合物名は、二酸化ジルコニウム(Zirconium Dioxide)で、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどと同様に、酸化ジルコニウム(Zirconium Oxide)という一般的な呼称があります。慣用名はジルコニア(Zirconia)です。天然には、ジルコン(Zircon、ZrSiO4、ZrO2・SiO2)、およびバッデレイ石(Baddeleyite)などとして存在します。砂状のジルコンをジルコンサンドと呼びます。ジルコニアとジルコンは、同一の物質ではありません。

ZrO2 にも、多形(同質異像)があり、単斜晶系、正方晶系、立方晶系に変態する異なった結晶系があります。約900 ~ 1,000℃で正方晶系から単斜晶系に結晶変態(Crystal Transformation)する際(相転移(Phase Transition)ではありません)、それぞれの結晶の体積(容積)が異なるため、この体積変化に伴い、著しい膨張収縮に起因するひずみが起こり、壊れやすくなります。そのため、ZrO2 に、MgO(マグネシア)、CaO(カルシア)、Y2O3(イットリア)、CeO2(セリア)などの安定化剤を5 ~ 10mol%添加して焼結し、固溶体(Solid Solution、置換固溶(Substitutional Solution))を形成させることにより、常圧室温下でも単斜晶系に変化しにくく、立方晶の安定相が保持された、変態による破砕現象の起こりにくいZrO2(安定化ジルコニア(Stabilized Zirconia、FSZ(Fully Stabilized Zirconia)))を得ることができます。

さらに、3 ~ 8mol%の少量の安定化剤を添加して、ZrO2 結晶中に立方晶と正方晶の両方を共存させたもの(一部単斜晶も存在する場合もあり)を、部分安定化ジルコニア(通称PSZ、Partially Stabilized Zirconia(Tetragonal Zirconia Polycrystal))と呼びます。例えば、3mol%のY2O3を添加した部分安定化ジルコニアを、3Y-ZrO2 などと略して呼ぶ場合もあります。また、ZrO2 の正方晶が安定な領域で焼結(1,400℃以下)を行い、正方晶のみのZrO2 焼結体を得ることもできます(通称TZP、Tetragonal ZrO2 Polycrystalline)。

ZrO2 の正方晶から単斜晶への変態は、鋼の高温からの急冷時に起こる変態と類似するマルテンサイト変態の一種であると位置付けることもあります。この部分安定化ジルコニア焼結体の破壊靭(じん)性値KIC は、6 ~ 9MPam1/2 と、他の高密度焼結体の特性値に比べて高く、繊維などを用いた複合材料を除いた緻密質セラミック材料の中で群を抜く高靭性セラミックス(Toughened Ceramics)です。なお、金属材料の炭素鋼(Carbon Steel)、鋳鉄(Cast Iron)、およびアルミニウム合金(Aluminum Alloy)のKIC の破壊靭性値は、それぞれ約210、20、および34 MPam1/2 です。

サブマイクロメートルサイズの微細粒で構成された3Y-TZP 焼結体なども、超塑性変形挙動を示すことが知られています。通常、セラミック材料は、金属材料のように、常圧常温下では塑性変形をしません。しかし、高温域では、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素やそれらの複合材料などは、超塑性変形挙動を示します。

高靭性のジルコニア焼結体は、構造材料として広く利用されています。また、耐火物材料の成分や、イオン導電性を利用した酸素ガスセンサ、および固体電解質型電池材料(Solid Electrolytic Battery Material)などに応用されています。特に、Zr4+ にCa2+ が置換され、空孔が生じた安定化ジルコニアZr1-xCaxO2-x は、酸素イオン伝導体の代表例です。

また、安定化ジルコニア焼結体を発熱体(Heating Element)に用いることにより、常圧大気下中で、約2,000℃以上の温度を容易に作り出すことも可能です。なお、イミテーションのダイヤモンド宝石として身近なキュービックジルコニア(立方晶(Cubic)のZrO2 の単結晶)は、人工宝石として広く市販されています。

・酸化チタン

最後に紹介する酸化物セラミックスは、酸化チタン(チタニア)です。 組成式はTiO2 で、正式な化合物名は、二酸化チタン(TitaniumDioxide)です。ただし、常圧室温下で安定な化合物はTiO2 だけなので、一般に酸化チタン(Titanium Oxide)と呼びます。慣用名はチタニアです。

TiとO の化合物としては、TiO(立方晶)、Ti2O3(六方晶)などがあります。TiO2 には、ルチル型(Rutile、正方晶)、アナターゼ型(Anatase、正方晶)、およびブルッカイト型(Brookite、斜方晶)の変態の異なった結晶系の多形が存在します。天然には、ルチル(Rutile、金紅石)、アタタース(Anatase、鋭錐石)、ブルッカイト(Brookite、板チタン石)、イルメナイト(Ilmenite、チタン鉄鉱)などとして産出されます。

酸化チタンは、従来、インクの顔料、屋外ペイント剤、および化粧品(白色顔料として使用されるほか、紫外線散乱効果を利用して紫外線予防用などにも使用されています)などとして用いられてきました。また、近年では、アナターゼ型の酸化チタンが、環境浄化用などをはじめとするさまざまな「光触媒」製品として市販され、注目を集めています。

 

2. 多成分系酸化物セラミックス

多成分系酸化物セラミックスは、2 種類以上の金属元素、あるいは非金属元素と酸素との化合物セラミックスです。代表的なものに、強誘電体材料(Ferroelectric Material)、磁性材料(Magnetic Material)、超伝導材料(Superconducting Material)、発熱体材料(Heating ElementMaterial)、および高温材料(High Temperature Material)などがあります。自然界には存在せず、人工的に作り出されるセラミックスです。

強誘電体の誘電体とは、電気的絶縁性を持つ物質で、静電場を印加しても、表面に正と負の分極を生じるだけで電気が流れない物質のことです。ほとんどのセラミックスが誘電体です。通常、誘電体における分極と電場は比例関係にあるため、常誘電体と呼ぶ場合もあります。しかし、分極と電場が比例関係、すなわち直線関係を示さずに、分極の向きが電場によって変化し、ヒステリシス(Hysteresis)や飽和現象(Saturation Phenomenon)が現れる物質を、強誘電体と呼びます。

ペロブスカイト型構造を有するBaTiO3、SrTiO3 やPbO-ZrO2-TiO2 組成のチタン酸ジルコン酸鉛(通称PZT、PbTiO3-PbZrO3(Pb(Zr・Ti)O3))などの3 成分、あるいはそれ以上の多成分の酸化物セラミックスは、強誘電体の性質を応用して、コンデンサ材料(Condenser Material)、圧電材料(Piezoelectric Material)、および焦電材料(PyroelectricMaterial)などの機能性セラミック材料として、幅広く利用されています。特に、応力やひずみを加えた際に生じる分極(電荷発生)や、電圧を印可した際に生じる機械的(力学的)なひずみを利用した圧電体は、医療診断用超音波センサ、ガス器具のガス点火部品、電子体温計のブザー、および油圧・気圧・血圧などの測定用圧力センサなどとして利用されています。

3. その他の多成分系酸化物(複酸化物) セラミックス

続きは資料をダウンロードしてご覧ください!

全10回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 セラミックスとは
  • 第2回 化学組成と結晶構造について
  • 第3回 単体セラミックスと化合物セラミックス
  • 第4回 オールドセラミックスとニューセラミックス
  • 第5回 酸化物セラミックス
  • 第6回 非酸化物セラミックス
  • 第7回 セラミックスの作り方(焼結体)
  • 第8回 セラミックスの作り方(単結晶など)
  • 第9回 セラミックスの物理的特性評価(機械的特性~密度、強度、硬度~)
  • 第10回 セラミックスの物理的特性評価と化学的特性評価

 

基礎知識DL

CATEGORY