溶接の資格認証制度|溶接の基礎知識7
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溶接の資格認証制度|溶接の基礎知識7
前回は、アルミニウム合金の特徴とTIG溶接を解説しました。今回は、溶接作業者の資格認証制度を紹介します。溶接の品質を高めるには、適切な技術を持った溶接作業者が不可欠です。資格認証制度は、溶接作業者の技術を担保するために必要な制度です。
第7回「溶接の資格認証制度」を解説していきます。
1. 溶接要員の資格認証制度
ISO9001 Quality Management Systemでは、溶接を特殊工程(完成後の検査で不良品を排除できない工程)と定義し、品質保証が困難な作業に位置付けています。溶接作業は自動化やロボット化が進められているものの、大部分は溶接技術者が行うため、溶接品質は作業者の技術レベルに左右されます。溶接品質を一定のレベルに保つために、溶接管理技術者・溶接技術者の知識・技術レベルを担保する資格認証制度があります。また製作物によっては、資格認証の取得が人材登用の条件となることがあります。
溶接要員の資格認証には、さまざまな種類があります(表1)。一般的に取得されているのは、溶接管理技術者、手溶接技能者、半自動溶接技能者などの資格認証です。これらの認証試験は、認証機関の一つである一般社団法人日本溶接協会が実施しています。本稿では、主に手溶接技能者の資格認証制度について述べます。
2. 手溶接技能者の資格認証
手溶接は作業者が手で行う溶接で、被覆アーク溶接を使った検定試験です。手溶接技能者の資格認証は、裏当て金の有無、溶接する板金の厚さ、溶接姿勢の組み合わせで分類され、資格の種類記号で簡易的に表されます。種類記号の例として、裏当て金あり・厚板・下向姿勢の試験はA-3Fと表します。
・裏当て金の有無
裏当て金ありで溶接を行う場合(資格の種類記号:A)と裏当て金なし(資格の種類記号:N)の場合があります。裏当て金ありの溶接は、建築構造物などに使用される施工法です。試験材の裏側に当て金を付け、高い電流で試験材と当て金を溶かし込みます。一方、裏当て金なしの溶接は、配管などに使用され、当て金を付けずに溶け具合を調整しながら溶接します。受験者は、自分の行う溶接の種類によって、AまたはNを選択します。
・板厚
溶接を行う板厚を、薄板(厚さ3.2mm)、中板(厚さ9.0mm)、厚板(厚さ19.0mm)から選択します。資格の種類記号は、薄板は1、中板は2、厚板は3です。認証に合格した溶接技術者は、一般的に板厚の1/2~ 2倍の溶接ができる技術があると認められます。スチール家具などを製造する業種では、薄板を選択します。また、板厚6.0mm ~ 16.0mmの鉄骨を使用する業種では中板を、板厚20.0mm 以上を使用する業種では厚板を選択します。
・溶接姿勢
溶接姿勢には、さまざまな種類があり、受注先から求められる溶接姿勢を選択します。平板の溶接では、下向、上向、横向、立向の4種類の溶接姿勢があります(図1)。資格の種類記号は、F:下向、O:上向、H:横向、V:立向です。
パイプの溶接には、鉛直固定と水平固定の2種類の溶接を行います。資格の種類記号は、Pを用います。
3. 手溶接技能者の受験資格
4. 手溶接技能者の評価試験
5. 適格証明書の有効期間と再評価試験
6. その他の資格認証
全9回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 アーク溶接と溶接棒の種類
- 第2回 溶接継手の種類と強度計算
- 第3回 溶接記号の種類と書き方
- 第4回 マグ溶接とは
- 第5回 TIG溶接とステンレス鋼の溶接
- 第6回 アルミニウム合金のTIG溶接
- 第7回 溶接の資格認証制度
- 第8回 溶接作業の安全対策
- 第9回 すみ肉溶接の実技
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